条件設定 / Parameters
SEM-EDS Configuration計算結果 / Results
Calculated Ranges一般に十分な特性X線強度を得るには、1.5~2程度以上の過電圧比(U = E₀ / Ec)が一つの目安となります。低すぎる電圧では励起断面積が小さくシグナル強度が不足し、高すぎる電圧では電子侵入深さが広がり微細構造の空間分解能が低下します。
電子相互作用領域・特性X線発生領域 模式図 / Interaction Volume Schematic
Dynamic Scale Visualization可視化のポイント
● 入射電子線: 試料表面から真下に照射され、試料構成原子との弾性・非弾性散乱を繰り返しながらエネルギーを失っていきます。
● 電子相互作用領域(淡い金色・半透明): Kanaya–Okayama 式で推定される電子侵入深さ RKO を最大深さとして模式的に表した領域です。
● 特性X線の発生領域(濃い金色): 電子エネルギーが対象元素の臨界励起エネルギー Ec を上回っている領域内で特性X線が発生します。Anderson–Hasler 式による RX は特性X線の発生領域(Generation Range)の経験的推定値であり、試料内部での自己吸収や検出器取込角等を考慮した実効情報深さ(Information Depth)とは区別されます。
入射電圧と電子侵入深さ・特性X線発生領域の関係 / Landing Voltage vs. Depth
Multi-Voltage Curve同一試料および選択特性X線における、入射電圧(Landing Voltage、1 kV ~ 30 kV)の変化に伴う電子侵入深さ(RKO)と特性X線発生領域(RX)の推移です。
技術計算モデルと採用経験式 / Technical Equations
本シミュレーターでは、SEMおよび微小部X線分析の分野で長年広く利用されている代表的な2つの経験式を採用しています。
ここで、Aavg は重量分率加重平均原子量 [g/mol]、 Zavg は重量分率加重平均原子番号、 E0 は入射電圧(Landing Voltage)に対応する入射電子エネルギー [keV]、 ρ は試料密度 [g/cm³] です。
ここで、Ec は対象X線系列の臨界励起エネルギー(Absorption edge energy)[keV]、
ρ は試料密度 [g/cm³] です。E0 ≤ Ec の場合は励起されず、RX は 0 とします。
※ 注意(情報深さとの相違):
RX は Anderson–Hasler 経験式による特性X線発生領域の推定値です。
発生したX線の自己吸収(Absorption correction)や検出器取込角(Take-off angle)などを考慮した
実効的な検出・情報深さ(EDX Information depth)とは区別されます。
多成分合金や化合物では、入力された重量百分比(wt%)または原子百分比(at%)から 重量分率 wi を求め、本ツールでは計算を簡略化するため Zavg と Aavg に重量分率加重平均値を用いています。 これは均質な多元素材料に対する簡易近似であり、厳密な電子輸送計算を表すものではありません。 密度 ρ はユーザー指定の実測値・文献値を用います。
- 吸収端エネルギー (Ec)・特性X線エネルギー: NIST Standard Reference Database 128 (X-ray Transition Energies and Edge Energies; Deslattes et al., 2005)
- 特性X線波長・エネルギー: J. A. Bearden, "X-Ray Wavelengths", Rev. Mod. Phys. 39, 78 (1967) / LBNL X-Ray Data Booklet
- 電子飛程公式 (Electron Range): K. Kanaya and S. Okayama, "Penetration and energy-loss theory of electrons in solid targets", J. Phys. D: Appl. Phys., Vol. 5, p. 43 (1972)
- 特性X線の発生領域(経験式): C. A. Anderson and M. F. Hasler, "Extension of electron microprobe techniques to low atomic numbers", X-ray Optics and Microanalysis, 4th Int. Cong., Hermann, Paris, p. 310 (1966)
- ※ 水素 (H)、ヘリウム (He)、リチウム (Li) など標準EDSで特性X線が検出されない元素は、分析対象X線リストから除外されています。
免責事項 / Disclaimers
本ツールはSEM-EDS / EDX分析における電子侵入深さおよび特性X線の発生領域を理解するための参考計算ツールです。
表示値は経験式に基づく概算値であり、実際のEDS情報深さ・空間分解能を保証するものではありません。
実際のX線発生領域は、試料組成、密度、表面形状、入射角、X線吸収、電子散乱、装置条件等によって変化します。
For reference use only.